目次
  1. 01|同じ食事でも、食べる時間だけで身体は変わるのか。
  2. 02|24時間の消費カロリーは、ほとんど変わらなかった。
  3. 03|夜遅い食事では、睡眠中に脂肪を使う割合が低くなった。
  4. 04|もうひとつの発見。身体の「燃料を切り替える力」に違いがあった。
  5. 05|夕食は何時までに食べるべきなのか。
  6. 身体は、食べたものだけでなく、食べた時間にも反応している。

MEAL TIMING, FAT OXIDATION & METABOLIC HEALTH

夕食は、何時に食べているだろうか。

仕事が終わってから食事をすると、気づけば夜10時を過ぎている。

帰宅後にトレーニングをして、夕食が遅くなることもある。

忙しい毎日を送る男性にとって、夜遅い食事は珍しいことではない。

では、まったく同じものを、同じカロリーだけ食べたとしても、食べる時間によって身体の反応は変わるのだろうか。

2026年9月2日、日本の研究チームによる興味深い研究が、国際学術誌『Clinical Nutrition』にオンライン掲載された。

研究では、食事の内容や摂取カロリーを揃えながら、食べる時間帯だけを変えて、身体のエネルギー代謝を比較した。

その結果、24時間の総エネルギー消費量には明確な差がなかった。

しかし、睡眠中に糖質と脂質のどちらをエネルギーとして使うかには、違いが現れた。

さらに、身体が糖質と脂質を使い分ける能力にも変化が見られたという。

食事の時間は、消費するカロリーよりも、エネルギーの使い方に影響するのかもしれない。

最新研究から、その仕組みを考えてみたい。


01|同じ食事でも、食べる時間だけで身体は変わるのか。

THE SAME FOOD, DIFFERENT TIMING.

今回の研究を行ったのは、福岡大学や国立健康・栄養研究所などに所属する日本の研究チームだ。

対象となったのは、健康な若年男性8人。

研究では、同じ参加者が、食事時間の異なる2つの条件を体験する「ランダム化クロスオーバー試験」が行われた。

ひとつは、比較的早い時間帯に食事をとる条件。

もうひとつは、食事時間を遅らせる条件だ。

それぞれの条件を7日間続け、条件の間には少なくとも1週間の間隔を設けた。

研究の特徴は、食事時間以外の条件をできる限り揃えたことにある。

摂取カロリーは同じ。

食事内容も同じ。

食事をとる時間幅や、睡眠・起床のタイミングも揃えられていた。

さらに、参加者は専用の代謝測定室に滞在し、呼吸による酸素消費量や二酸化炭素排出量などから、身体がどの程度エネルギーを消費しているかを測定された。

研究チームが調べたのは、主に次の3つだ。

  • 1日に消費するエネルギー量
  • 糖質と脂質の利用割合
  • 状況に応じてエネルギー源を切り替える能力

食事の量が同じでも、時間帯によって代謝が変わるのか。

その疑問を、できる限り条件を揃えて検証した研究だった。

02|24時間の消費カロリーは、ほとんど変わらなかった。

ENERGY EXPENDITURE STAYS SIMILAR.

まず、意外だったのがエネルギー消費量だ。

夜遅く食べると太りやすい。

そう聞くと、夜は身体がエネルギーを消費しにくくなると考える人もいるだろう。

しかし、今回の研究では、24時間の総エネルギー消費量に統計的に有意な差は認められなかった。

早い時間帯に食事をとった条件では、1日の平均エネルギー消費量は約1,879kcal。

遅い時間帯に食事をとった条件では、約1,856kcalだった。

差は約23kcal。

この違いは統計的に有意ではなかった。

また、普段の生活中に測定された歩数や身体活動量にも、明確な差は見られなかった。

つまり、今回の条件では、食事時間を遅らせても、1日に消費するカロリーそのものが大きく減ったわけではない。

ただし、ここで重要なのは、エネルギー消費量とエネルギー源の使い方は別の問題だということだ。

身体は、主に糖質と脂質を使いながら活動している。

同じ量のエネルギーを消費していても、どちらを多く使っているかは変化する。

そして、今回の研究では、その違いが睡眠中に現れた。

03|夜遅い食事では、睡眠中に脂肪を使う割合が低くなった。

FAT OXIDATION DURING SLEEP.

今回の研究で、最も注目したい結果がある。

それが、睡眠中の「呼吸交換比」の違いだ。

呼吸交換比とは、身体が消費する酸素と排出する二酸化炭素の比率から、どのエネルギー源が主に使われているかを推定する指標だ。

一般に、この数値が0.7に近いほど脂質の利用割合が高く、1.0に近いほど糖質の利用割合が高いと考えられる。

今回の研究では、午前0時から午前7時59分までの呼吸交換比を比較した。

その結果は、次のとおりだった。

早い時間帯に食事をとった条件では、平均0.838。

遅い時間帯に食事をとった条件では、平均0.897。

遅い時間帯の条件では、呼吸交換比が有意に高かった。

これは、睡眠中に糖質が使われる割合が相対的に高く、脂質が使われる割合が低くなっていたことを示唆している。

通常、食後は摂取した糖質がエネルギーとして利用されやすくなる。

その後、食事から時間が経過すると、身体は徐々に脂質の利用割合を高めていく。

ところが、食事の時間が遅いと、睡眠中も糖質の利用割合が比較的高い状態が続く可能性がある。

同じ食事でも、食べる時間によって、眠っている間の脂肪の使われ方が変わる。

今回の研究は、その可能性を示した。

ただし、睡眠中の脂質利用割合が低かったからといって、長期的に体脂肪が増えると証明されたわけではない。

身体が一時的に脂肪を多く燃やすことと、体脂肪が減ることは同じではないからだ。

04|もうひとつの発見。身体の「燃料を切り替える力」に違いがあった。

METABOLIC FLEXIBILITY.

今回の研究では、もうひとつ興味深い変化が確認された。

それが「代謝の柔軟性」だ。

私たちの身体は、食事をした直後と、食事から時間が経過した状態とでは、利用するエネルギー源を切り替えている。

食後には糖質の利用割合が高まり、空腹時や睡眠中には脂質の利用割合が高まりやすい。

このように、状況に応じて糖質と脂質を使い分ける能力を、代謝の柔軟性と呼ぶ。

今回の研究では、24時間における呼吸交換比の変動幅を、その指標として用いた。

早い時間帯に食事をとった条件では、変動幅が平均0.194。

遅い時間帯に食事をとった条件では、平均0.131だった。

遅い時間帯に食事をとった条件では、変動幅が有意に小さくなっていた。

つまり、食事時間を遅らせることで、糖質から脂質へとエネルギー利用を切り替える変化が小さくなった可能性がある。

代謝の柔軟性は、肥満やインスリン抵抗性などとの関係が研究されている。

ただし、今回測定されたのは、呼吸交換比の変動幅という間接的な指標だ。

この数値が小さくなったことだけで、参加者の代謝機能が長期的に悪化したと断定することはできない。

それでも、食事の時間帯が、身体のエネルギー利用のリズムに影響する可能性は興味深い。

健康を考えるときには、何を食べるかだけでなく、いつ食べるかも重要な要素になりそうだ。

05|夕食は何時までに食べるべきなのか。

A SMARTER DINNER ROUTINE.

では、今回の研究から、夕食は何時までに済ませるべきだといえるのだろうか。

結論からいえば、すべての人に共通する最適な夕食時間が決まったわけではない。

今回の研究に参加したのは、健康な若年男性8人だった。

研究期間も比較的短く、体重や体脂肪の長期的な変化を検証したものではない。

そのため、今回の結果をそのまま40代や50代の男性、女性、高齢者などに当てはめることはできない。

また、夜遅い食事を避ければ必ず痩せると証明されたわけでもない。

ただし、過去の研究でも、食事時間を遅らせることで脂質の利用割合が低下する可能性が報告されている。

2022年に発表されたランダム化クロスオーバー試験では、食事時間を4時間遅らせた条件で、夕食後の脂質酸化が低下した。

この研究でも、24時間の総エネルギー消費量には有意な差が認められなかった。

つまり、食事時間によってエネルギーの使い方が変わるという結果は、今回だけのものではない。

日常生活では、無理なく夕食を早められるなら、その習慣を検討する価値はあるだろう。

ただし、仕事の都合で夕食が遅くなる人が、食事を抜く必要はない。

筋力トレーニングをしている人であれば、十分なエネルギーやタンパク質を摂取することも大切だ。

夜遅い時間に大量の食事をまとめてとるのではなく、夕方に軽く食事をとり、帰宅後は必要な栄養を補うなど、生活に合わせた工夫も考えられる。

そして、体脂肪を減らしたいのであれば、食事時間だけに注目するべきではない。

摂取カロリー、食事の質、身体活動量、筋力トレーニング、睡眠などを含めて考える必要がある。

夕食を早めることは、健康的な生活習慣を支えるひとつの選択肢だが、それだけで体脂肪が減るわけではない。

身体は、食べたものだけでなく、食べた時間にも反応している。

今回の2026年研究では、食事の内容やカロリーを揃えても、食事時間によって睡眠中のエネルギー利用に違いが生じることが確認された。

夜遅い食事では、睡眠中の糖質利用割合が高く、脂質利用割合が低くなる傾向が見られた。

また、糖質と脂質を使い分ける代謝の柔軟性を示す指標にも変化が認められた。

一方、24時間の総エネルギー消費量には明確な差がなかった。

この結果は、食事時間が単純に消費カロリーを増減させるのではなく、身体がエネルギーを使うタイミングや割合に影響する可能性を示している。

ただし、今回の研究だけで、夜遅い食事が長期的な肥満を引き起こすと断定することはできない。

それでも、食事の時間帯を意識することは、これからの健康づくりを考えるうえで興味深い視点になる。

何を食べるか。どれだけ食べるか。そして、いつ食べるか。

身体づくりを考えるときには、この3つを合わせて考えることが大切なのかもしれない。

REFERENCES|参考文献・出典

  1. Hatamoto Y, et al. (2026).
    Late-Timed Eating Alters the Diurnal Pattern of Fuel Selection and Lowers Metabolic Flexibility Without Changing 24-Hour Energy Expenditure: A Randomized Crossover Trial.
    Clinical Nutrition. Published online September 2, 2026. Article 106771.
    https://doi.org/10.1016/j.clnu.2026.106771

  2. Delaying meal times reduces fat oxidation: A randomized, crossover, controlled feeding study. (2022).
    Obesity, 30(12), 2386–2395.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36238978/

研究についての補足

2026年の研究は、健康な若年男性8人を対象とした短期間の試験です。食事時間によるエネルギー利用の変化を検証したものであり、長期的な体重減少、体脂肪減少、疾病予防への効果を直接証明するものではありません。

本記事は一般的な情報提供を目的とし、診断・治療に代わるものではありません。研究結果には限界や個人差があります。編集方針・訂正方針

ABOUT THE AUTHOR

岸本 淳史

WELLNESS EDIT JAPAN 代表・編集責任者 / NSCA-CPT

株式会社Karada Works代表取締役。NSCA認定パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)。2017年よりパーソナルジム運営に携わり、運動指導、パーソナルジム・整骨院の経営支援、ドライヘッドスパ専門店La HEADの経営など、ウェルネス分野の事業に従事。

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